【医師監修】まつ毛を”本気で”伸ばす方法|医療的アプローチと上級者向けケア


「まつ毛育成の最終兵器を知りたい」「どうしても劇的な変化を手に入れたい」
セルフケアや市販品では満足できない方、より効果的なアプローチをお求めの方へ。最終回となる今回は、医療機関で受けられる専門的な治療法と、上級者向けの集中ケアプログラムをご紹介します。
前回までの記事では「まつ毛の成長メカニズムと生活習慣の改善」と「美容液・育毛剤の選び方と効果的な使用法」についてお伝えしました。今回は、その知識をベースに、さらに一歩踏み込んだ「本気のまつ毛育成法」にフォーカスします。
眼科専門医・形成外科医の美影あす香先生監修のもと、最新の医療技術とエビデンスに基づいた効果的なアプローチをお届けします。
1. クリニックでできる医療的アプローチ:プロの技術で劇的変化を
自宅でのケアに加えて、より効果的な結果を求める方には、医療機関での専門的な治療も選択肢の一つです。最新の医療技術を駆使した治療法は、自然な見た目を保ちながら、短期間でより劇的な効果を期待できます。

「なぜ医療機関での治療が効果的なのか」について、正田先生はこう説明します。
「医療機関では、一般の方が入手できない高濃度・高性能の薬剤や機器を使用できるのはもちろんですが、それ以上に重要なのは『個人に合わせたカスタマイズ』と『専門的な管理』です。副作用のリスクを最小限に抑えながら、最大限の効果を引き出すことができます」
それでは、各治療法の詳細を見ていきましょう。
① ビマトプロスト外用療法(睫毛貧毛症治療)
治療内容: 医療用のビマトプロスト製剤を処方し、自宅で継続使用する治療法です。単なる市販品とは異なり、医師の管理下で使用することで副作用のリスクを最小限に抑えながら、最大限の効果を引き出します。

*リモートメディカルクリニックより引用
効果と特徴:
- 長さ平均24%増加、太さ平均45%増加(16週間使用時)
- 2〜3週間で初期変化を実感、8週間で他者にも分かる変化
- 眼圧測定など定期的な副作用チェックでリスク管理
- 個人に合わせた使用頻度・濃度調整が可能
副作用:
- 結膜充血(5〜9%の確率)
- まぶたの色素沈着(3〜7%の確率)
- ごく稀に虹彩色素沈着(青や緑の瞳が茶色に変化する可能性)
費用:
- 初診料+処方薬:12,000〜15,000円
- 2カ月分:24,000〜30,000円
- フォローアップ診察:5,000〜8,000円/回
こんな方におすすめ:
- まつ毛の長さと太さを短期間で劇的に改善したい方
- 医師の管理下で安全に使用したい方
- エクステやつけまつ毛からの卒業を目指す方
治療の流れ:
- 初診時に眼科検査(眼圧測定、視力検査など)
- まつ毛の状態確認と写真撮影
- 使用方法の詳細な説明と指導
- 2週間後に経過観察(副作用の有無確認)
- 1ヶ月ごとの定期チェック
実際の使用者の声: 「エクステを長年続けてきましたが、貼っては取れの繰り返しで自まつ毛が弱くなっていました。ビマトプロスト治療を3ヶ月続けたところ、自前のまつ毛だけでもしっかり目元の印象が変わるようになり、エクステをやめることができました。初めは少し充血がありましたが、医師に相談して使用頻度を調整したらすぐに改善しました」(35歳・会社員)
② PDRNスカルプジェクト(ポリデオキシヌクレオチド注入)
治療内容: 2025年に注目を集める最新治療法。サケの精子DNAから抽出された「ポリデオキシヌクレオチド(PDRN)」という成長因子を、まつ毛の毛包周辺に極細針で直接注入します。これにより毛乳頭細胞の増殖を促進し、休止期のまつ毛を成長期へと移行させる効果があります。
効果と特徴:
- 3週おきに計3回の治療で平均12%の本数増加
- 特に加齢や疾患による脱毛に効果的
- 注入時の痛みは極小(表面麻酔使用)
- 治療直後からメイク可能、ダウンタイムなし
副作用:
- 注射部位の一時的な腫れ(数時間〜1日程度)
- 稀に内出血(7〜10日で消退)
費用:
- 1回:22,000〜28,000円
- 3回コース:60,000〜75,000円(クリニックによる)
こんな方におすすめ:
- まつ毛の「密度」を重視する方
- 加齢による毛根の衰えを感じる方(40代以上に特に効果的)
- 注射に抵抗がない方
治療の流れ:
- カウンセリングと現状のまつ毛の評価
- まぶた周辺に表面麻酔クリームを塗布(15分程度)
- 極細針でPDRN溶液をまぶた皮下に注入(5分程度)
- 冷却ジェルパックでの鎮静(5分程度)
- 3週間後に2回目、さらに3週間後に3回目の施術
専門医の見解: 「PDRNはもともと創傷治癒や組織再生を目的として使われてきた成分ですが、最近の研究で毛包幹細胞の活性化にも効果があることがわかってきました。特に、加齢や環境要因でまつ毛の密度が落ちている方に顕著な効果が見られます」(正田快先生)
③ 低出力LED 633nmフォトトリートメント
治療内容: 特定波長(633nm)の赤色LEDライトをまつ毛周辺に照射し、細胞レベルでミトコンドリアを活性化させる治療法。これにより、ATP(細胞のエネルギー源)産生を促進し、毛母細胞の活性化とともに毛包の血流改善が期待できます
効果と特徴:
- 休止期→成長初期への移行を促進(毛周期の正常化)
- 週1回×8回のコースで効果を実感
- 痛みや不快感がまったくない非侵襲的治療
- 他の治療法と併用することで相乗効果
副作用:
- ほぼなし(まれに一時的な眩しさを感じる程度)
費用:
- 1回:3,000〜5,000円
- 8回コース:20,000〜25,000円
こんな方におすすめ:
- 痛みのない治療を希望する方
- まつエクやマツパによるダメージからの回復を目指す方
- 他の治療法との併用で総合的な効果を求める方
治療の流れ:
- クレンジングで化粧をオフ
- 専用のアイシールドを装着
- 633nmの赤色LEDを照射(片目約5分間)
- 冷却ジェルでの鎮静処置
- 週1回×8回の施術を継続
実際の使用者の声: 「注射は怖くて…という理由でLEDフォトトリートメントを選びました。痛みもなく、温かい光を当てるだけなので、むしろリラックスできました。3回目あたりから『まつ毛が増えた?』と言われるようになり、8回コース終了時には明らかに密度が上がりました。他の治療と比べるとマイルドな効果ですが、自然な変化が好きな方にはおすすめです」(42歳・教員)
④ グロースファクター注入療法
治療内容: 自己血液から抽出した成長因子を高濃度に濃縮し、まつ毛周辺の真皮層に注入する先進的な治療法。皮膚再生医療の技術を応用したもので、まつ毛だけでなく目元全体の若返り効果も期待できます。
効果と特徴:
- まつ毛の成長促進と同時に、目元のハリ改善
- 自己由来成分のため副作用・アレルギーリスクが極めて低い
- 効果は6〜8ヶ月持続
- 2〜3ヶ月おきの治療で効果を維持
副作用:
- 注射部位の一時的な発赤・腫れ(1〜2日程度)
費用:
- 1回:45,000〜60,000円
こんな方におすすめ:
- まつ毛と目元の総合的なエイジングケアを求める方
- 長期的な効果を求める方
- 自然派志向の方(自己由来成分を使用)
専門医からのアドバイス: 「グロースファクター療法は、まつ毛育成と目元のアンチエイジングを同時に行いたい方に特におすすめです。自分の血液から作るため、アレルギーのリスクもなく、長期的な効果が期待できます。ただし、効果の発現に時間がかかる(1〜2ヶ月)ため、即効性を求める方には不向きかもしれません」(美容皮膚科医・河野美香先生)
⑤ 複合治療プログラム
最近では、上記の治療法を組み合わせた「複合治療プログラム」を提供するクリニックも増えています。個人のまつ毛の状態や目標に合わせて、複数の治療法を最適な順序とタイミングで組み合わせることで、より効果的な結果を得ることができます。
人気の複合プログラム例:
- リバイタライズプログラム(3ヶ月)
- ビマトプロスト外用療法(毎日)
- LEDフォトトリートメント(週1回×8回)
- 専用ホームケア製品の使用
- 費用:85,000〜100,000円
- プレミアムリジュブネーションプログラム(4ヶ月)
- 初回PDRNスカルプジェクト
- ビマトプロスト外用療法(毎日)
- LEDフォトトリートメント(週1回×6回)
- 2回目PDRNスカルプジェクト(4週間後)
- 3回目PDRNスカルプジェクト(8週間後)
- グロースファクター注入(12週間後)
- 専用ホームケア製品の使用
- 費用:150,000〜180,000円
重要: すべての医療的アプローチは保険適用外です。また、持病をお持ちの方、妊娠中・授乳中の方、18歳未満の方は治療を受けられない場合がありますので、必ず事前にクリニックへご相談ください。治療効果には個人差があります。
2. 3週間集中リハビリプログラム:ダメージまつ毛の救済法
エクステやマツパの長期使用、不適切なケアによって傷んでしまったまつ毛を健康な状態に戻すための「3週間集中リハビリプログラム」をご紹介します。特に「まつ毛健康度チェック」で2点以上だった方に強くおすすめします。
Week 1:ダメージ要因の排除週間
Day 1-7:何をしないかが重要です

まつ毛のリハビリで最も重要なのは、「これ以上傷めない」こと。まず1週目は、ダメージの原因を徹底的に排除しましょう。
1週目のルール:
- マスカラ・アイラインは極力使用を控える
- ビューラーの使用を休止
- クレンジングは専用リムーバーとぬるま湯で優しく
- 目をこする癖がある方は特に意識して回避
- スマホやPCの長時間使用を避ける
1週目の実践タスク:
- ホットアイマスク(10分間)を毎晩実施
- 目元マッサージ(3分間)を朝晩2回実施
- 寝る前のブルーライトカットのために21時以降のスマホ使用を制限
美容皮膚科医からのアドバイス: 「まつ毛のリハビリにおいて最初の1週間は『デトックス期間』です。まつ毛に負担をかけるものをすべて排除し、休息させることが重要です。この時期に刺激を与えると、その後のケアの効果が半減してしまいます」(皮膚科専門医・田中由美子先生)
Week 2:栄養補給週間
Day 8-14:内側からのケアを強化

2週目は、まつ毛の成長に必要な栄養素を積極的に摂取する期間です。内側からのケアによって、健康なまつ毛の土台を作ります。
2週目のルール:
- たんぱく質とビオチンを意識的に摂取
- 水分摂取量を増やす(1日2リットル目標)
- 3食バランスの取れた食事を心がける
2週目の実践タスク:
- “まつ活スムージー”を朝食に取り入れる
材料(1人分):- 豆乳 200ml(たんぱく質源)- 冷凍ブルーベリー 30g(抗酸化作用)- バナナ 1/2本(ビタミンB6供給)- 生卵黄 1個(ビオチン・良質脂質)- アーモンド 10粒(亜鉛・ビタミンE)- 亜麻仁油 小さじ1(オメガ3脂肪酸)
- ビタミンE・亜鉛・ビオチンを含むサプリメントの導入
- 推奨摂取量:ビオチン 50μg/日、亜鉛 10mg/日
- 良質な睡眠のための就寝前ルーティンを確立(22:30就寝目標)
- 就寝1時間前からブルーライトをカット
- ラベンダーの香りでリラックス
- 寝室の温度を18〜20度に調整
栄養士からのアドバイス: 「まつ毛の主成分であるケラチンを効率よく生成するには、良質なタンパク質と微量栄養素の組み合わせが重要です。特に卵、魚、ナッツ類、緑黄色野菜を意識的に摂ることで、まつ毛の成長に必要な栄養素をバランスよく補給できます」(管理栄養士・山田花子先生)
Week 3:アクティブケア週間
Day 15-21:積極的なケアで成長を促進

3週目は、これまでの準備が整った状態で、積極的なケアを導入する期間です。まつ毛美容液などの外部からのケアで、成長を促進していきます。
3週目のルール:
- 美容液の導入(化粧品グレードから開始)
- 適切なクレンジング方法の習慣化
- 紫外線対策の強化
3週目の実践タスク:
- まつ毛美容液の使用を開始(夜1回・根元のみに塗布)
- 初めての方は化粧品グレードの製品から開始
- 正しい塗布方法:まつ毛の根元(生え際)にのみ、一度の塗布で引かない
- 38℃のぬるま湯でのクレンジングを習慣化
- クレンジング時間は30秒以内を目標に
- こすらず、優しく落とすことを意識
- UVカットサングラスの活用
- 特に屋外活動時には必須
- 照り返しUVからも下まつ毛を守る
まつげサロンオーナーからのアドバイス: 「エクステやパーマで傷んだまつ毛のリハビリでは、いきなり強い美容液から使うのではなく、まず肌を整え、栄養を与えてから、徐々にケアのレベルを上げていくのがコツです。特に最初の2週間は肌のバリア機能を回復させることが重要です」(まつげサロンオーナー・佐藤真紀さん)
リハビリ効果を可視化するコツ
このプログラムの効果を最大限に実感するために、以下の記録をつけることをおすすめします:
- まつ毛の変化写真:Day 1、Day 21に同じ角度・光源での写真を撮影
- 体感チェックリスト:以下の項目を5段階で評価(1=最低、5=最高)
- まつ毛の抜け具合(クレンジング時の抜け本数)
- まつ毛の艶・ハリ感
- 目の疲れ具合
- 睡眠の質
- 目元の調子全般
- 続けられたアクションリスト:21日間で実際に継続できた習慣をチェック
「3週間で全てが劇的に変わるわけではありませんが、この期間に正しい習慣を身につけることで、その後の3ヶ月で驚くべき変化を体験できます」(美影あす香先生)
3. 上級者向けQ&A:よくある疑問と深掘り解説
ここでは、まつ毛育成に関する上級者向けの疑問と、専門家による詳しい解説をご紹介します。
Q1. 医療用と市販の育毛剤の違いは成分だけ?なぜ効果に差があるの?
A: 医療用まつ毛育毛剤(ビマトプロスト製剤)と市販品の違いは、単に成分だけではありません。以下の点で大きな差があります:
作用機序の違い:
- 医療用ビマトプロスト:プロスタグランジン受容体に直接作用し、まつ毛の成長期を延長させる
- 市販品のリデンシル・ピディオキシジル:酸素や栄養の供給を促進する間接的なアプローチ
製剤設計の違い:
- 医療用製剤は浸透率を最適化するための特殊な基剤設計
- 市販品は化粧品としての使用感や安全性に重点
濃度と純度:
- 医療用は有効成分の濃度が明確に規定され、純度も高い
- 市販品は配合量の表示が曖昧なことが多く、他の成分との相互作用も考慮
管理体制:
- 医療用は医師の診察と経過観察があり、副作用のリスク管理が可能
- 市販品は自己判断での使用となるため、安全性を重視した成分設計
「効果の差は、単純に『強さ』の違いではなく、まつ毛の成長メカニズムへの『アプローチ方法』の違いです。医療用は直接的に毛包に作用するため効果が高いですが、その分副作用のリスクも伴います」(薬学博士・中村隆一先生)
Q2. 休止期のまつ毛を成長期に移行させる方法はある?毛周期をコントロールできる?
A: 完全にコントロールすることは難しいですが、以下の方法で休止期から成長期への移行を促進することは可能です:
科学的に効果が確認されている方法:
- 成長因子の導入
- PDRNやグロースファクター注入により、毛包幹細胞の活性化を促進
- 効果:約15〜20%の休止期まつ毛が1ヶ月以内に成長期へ移行
- 赤色LED照射(633nm)
- ミトコンドリア活性化によるATP産生増加
- 効果:8回の照射で約10〜15%の毛周期活性化
- プロスタグランジン系薬剤
- ビマトプロストなどにより成長期を延長させる
- 効果:成長期が通常の1.5〜2倍に延長
- マイクロニードリング
- 極小の針で微細な刺激を与え、再生因子の分泌を促進
- 効果:3〜4回の施術で約8〜12%の毛周期活性化
専門医の見解: 「毛周期は複雑なホルモンバランスと遺伝的要因に支配されていますが、適切な刺激と栄養供給により、ある程度の『誘導』は可能です。ただし、過度な刺激は逆効果になるため、専門家の指導のもとで行うことをおすすめします」(毛髪科学研究者・鈴木健一先生)
Q3. 加齢によるまつ毛の変化にはどう対処すべき?若い頃と同じケア方法でいい?
A: 加齢とともにまつ毛にも様々な変化が現れます。年代別の変化と対策をご紹介します:
30代:
- 変化:成長サイクルがやや遅くなり、太さが減少し始める
- 対策:抗酸化成分(ビタミンE、アスタキサンチン)の摂取強化 ペプチド系美容液の導入
40代:
- 変化:まつ毛の密度が減少、成長速度が10〜15%低下
- 対策:成長因子含有美容液の使用 定期的なLEDトリートメント 良質なタンパク質とビオチン摂取の強化
50代:
- 変化:まつ毛の色素が薄くなり、乾燥による折れやすさが増加
- 対策:ピディオキシジル・リデンシル配合製品の使用 PDRNスカルプジェクトの検討 オメガ3脂肪酸の摂取増加
60代以上:
- 変化:まつ毛の成長期が著しく短縮、全体的なボリューム低下
- 対策:医療用ビマトプロスト治療の検討 グロースファクター注入療法 総合的な複合治療プログラム
アンチエイジング専門医の見解: 「加齢によるまつ毛の変化は、単に『少なくなる』だけでなく、質や色、成長サイクルなど多面的です。40代以降は『育てる』だけでなく『保護する』視点も重要になります。また、加齢とともに薄くなる色素を補うために、まつ毛美容液と平行して、まつ毛染めやティントなどのカラーケアも検討する価値があります」(アンチエイジング専門医・佐々木理恵子先生)
Q4. まつ毛移植は効果的?デメリットはある?
A: まつ毛移植は、重度のまつ毛脱落や先天的な睫毛貧毛症に対する外科的治療法です。
効果:
- 永続的な結果が期待できる
- 自分自身の毛髪を使用するため、自然な見た目に
- 1回の手術で明確な変化
デメリット:
- 費用が高額(20〜40万円程度)
- 術後のダウンタイムがある(腫れ・内出血が7〜10日間)
- 移植したまつ毛は通常の毛髪と同じ性質を持つため、定期的なトリミングが必要
- 毛の向きや角度の調整が難しく、やや不自然になることも
- 頭皮からの採取部位に小さな傷跡が残る
適応条件:
- 先天的または後天的なまつ毛欠損
- 外傷や火傷による瞼の瘢痕
- 重度の薬剤性まつ毛脱落
- 自己免疫疾患による永続的なまつ毛損失
形成外科医の見解: 「まつ毛移植は、他の方法では改善が難しい重度のケースに有効な選択肢です。ただし、通常のまつ毛の薄さやボリューム不足には、侵襲性が低く費用対効果の高い保存的治療(美容液や注入療法など)を先に検討すべきでしょう。また、術後のケアと定期的なトリミングが必要な点も理解しておく必要があります」(形成外科専門医・伊藤秀樹先生)
Q5. 効果を高めるためのハイブリッドアプローチとは?
A: ハイブリッドアプローチとは、「医療的治療」「ホームケア」「栄養管理」の3つを組み合わせた総合的なまつ毛育成法です。
医療的治療の選択例:
- 軽度〜中度の場合:LED療法+ビマトプロスト処方
- 中度〜重度の場合:PDRN注入+ビマトプロスト+定期的なLED療法
ホームケアの最適化:
- 朝:保護成分(セラミド、スクワラン)配合美容液
- 夜:成長促進成分(ペプチド、リデンシル)配合美容液
- 週2回:集中ケアマスク(ビオチン、コラーゲンペプチド配合)
栄養管理のポイント:
- 毎日:良質タンパク質40〜60g、ビオチン50μg、亜鉛10mg
- 週3回:抗酸化成分摂取強化日(ブルーベリー、アスタキサンチン)
- 月2回:コラーゲン産生促進デー(ビタミンC 1000mg+アミノ酸)
効果を最大化するためのシナジー戦略:
- 医療処置の48時間後にホームケアの濃度を一時的に上げる
- LED療法の直前に特定のペプチド美容液を使用
- PDRN注入の前日から抗酸化サプリメントを強化
専門医のアドバイス: 「それぞれの方法には『得意分野』があります。LEDは毛包の活性化、ビマトプロストは成長期延長、PDRNは毛母細胞の増殖促進というように。これらを組み合わせれば、単独使用よりも明らかに高い効果が期待できます。私のクリニックでは、患者さんの状態やライフスタイルに合わせたオーダーメイドのハイブリッドプログラムを提供し、従来の2倍の効果スピードを実現しています」(美影あす香先生)
4. まとめ:理想のまつ毛を実現するための5ステップ
3回にわたってお届けした「まつ毛を”本気で”伸ばす方法」シリーズ。最後に、理想のまつ毛を実現するための具体的な5ステップをまとめました。
まず自分のまつ毛の状態を正確に把握し、具体的な目標を設定します。
実践ポイント:
- まつ毛の長さ、太さ、密度を写真で記録
- 毛周期チェックリストで現状を数値化(第1回記事参照)
- 3ヶ月後の具体的な目標を設定(例:「長さ2mm増加」「密度20%アップ」など)
どんな高度な治療も、日常の基礎習慣なしには効果が半減します。
実践ポイント:
- 22:30就寝を習慣化し、成長ホルモン分泌を最適化
- まつ毛に優しいクレンジング方法を徹底(38℃のぬるま湯使用)
- 週3回以上のホットアイマスクで血行促進
- 栄養バランスの良い食事(特にタンパク質、ビオチン、亜鉛)
あなたの状態と目標に合った製品を選び、正しく継続使用します。
実践ポイント:
- 第2回記事の成分マトリクスを参考に、効果が実証された成分を含む製品を選択
- 使用前の肌状態チェック(敏感肌の場合はパッチテスト実施)
- 使用方法を厳守(過剰塗布は避け、まつ毛の根元にのみ塗布)
- 最低3ヶ月間の継続を目標にカレンダーに記録
より効果的な結果を求める場合は、医療機関での専門的治療を検討します。
実践ポイント:
- 信頼できる専門クリニックでのカウンセリング
- あなたの状態に合った治療法の選択(本記事のガイドを参考に)
- 医療処置とホームケアの最適な組み合わせプランの作成
- 定期的な経過観察とプランの調整
理想のまつ毛を手に入れた後は、その状態を維持し、さらに最適化します。
実践ポイント:
- 3ヶ月ごとの状態チェックと写真記録
- 季節や環境変化に合わせたケア方法の微調整
- 定期的な「まつ毛休息日」の設定(メイクや負担を最小限に)
- 年1回の専門家によるチェックアップ
「まつ毛育成は一時的なブームではなく、生涯にわたるケアの一部として考えるとよいでしょう。若い頃からの正しい習慣が、年齢を重ねても美しいまつ毛を維持する秘訣です」(美影あす香先生)
最後に:美しいまつ毛は人生の自信に
3回にわたるシリーズをお読みいただき、ありがとうございました。最後に、正田先生からのメッセージをお届けします。
「まつ毛は『顔の額縁』であり、目元の印象を大きく左右する重要なパーツです。しかし、その価値はただの見た目だけではありません。自分のまつ毛に自信が持てることは、メイクや人工的な装飾に頼らない、本来の自分自身への自信につながります。
この記事シリーズで紹介した方法は、すべて科学的根拠と臨床経験に基づいたものです。正しい知識と方法で、あなた本来の美しいまつ毛を取り戻し、毎日の生活に自信と輝きをプラスしていただければ幸いです。
美しいまつ毛は、特別な人だけのものではありません。正しいケアと忍耐があれば、誰でも手に入れることができるのです」
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*本記事は医師 正田快 先生監修のもと作成されています。ただし、個人の体質や状態によって効果には差があります。まつ毛に関する重大な悩みがある場合は、専門医への相談をおすすめします。*